白内障手術における選定療養など眼内レンズの種類

白内障の手術時に水晶体の代わりに眼の中に挿入する眼内レンズ(人工水晶体)は、メガネやコンタクトレンズのように度数が入れられるので、白内障の手術を受けるだけで近視・遠視・乱視をある程度矯正することができます。眼内レンズは、半永久的にレンズの交換やメンテナンスの必要がありません。最近のレンズは柔らかいアクリルレンズで、小さく折りたたんで3mm弱の切開創から眼内に挿入できるため、後で縫合する必要もなく、手術後に合併症を起こすことは大変少なくなっています。

眼内レンズの種類は大きく分けて、単焦点眼内レンズ(monofocal-IOL)と多焦点眼内レンズ(multifocal-IOL)の2つの種類があります。

単焦点眼内レンズ (monofocal-IOL)

単焦点眼内レンズは、もっとも一般的な白内障手術用眼内レンズで、保険診療の白内障手術の際に使用されています。水晶体にはそれ自体が膨らんだり縮んだりすることで焦点を合わせることができる調節力というものがありますが、単焦点眼内レンズにはその調節力がないため、白内障手術を受けると焦点が1か所にしか合わなくなります。例えば、遠くが見やすいように合わせると、新聞や携帯・スマホの画面などがぼやけて見えにくくなります。ほとんどの方が生活しやすいように遠くに焦点が合うように希望されており、白内障手術後に近くを見る時には、度の強い老眼鏡が必要になっています。

単焦点#

多焦点眼内レンズ (multifocal-IOL)

多焦点眼内レンズは、光の性質(屈折や回折)を利用して、遠くと近くの2か所、または遠く・中間・近くの3か所に焦点が合うように設計されています。白内障の手術後になるべく老眼鏡を使いたくない、という方におすすめです。保険診療の対象外になるため、手術費用は高額になりますが、遠くも近くもある程度メガネなしで生活出来るようになります。

近くの見え方の目安として、30~40cmの距離で新聞やメニュー程度の大きさの文字が読めるようになります。それ以上の小さい文字や物などを見る際には、老眼鏡が必要になる場合もあります。また、多焦点眼内レンズは、夜間の街灯や車のライトが手術前よりまぶしく感じられる傾向があります。(程度には個人差があります)

多焦点眼内レンズには、選定療養対象のレンズと、対象外のレンズがあります。当院では選定療養対象のレンズを使用した白内障手術を行っております。また、選定療養対象外ではありますが、選定療養対象のレンズより夜間の光のにじみや手元の見え方がより改善されることが期待できる最新の多焦点眼内レンズや、レーザー白内障手術も、同医療法人のみなとみらいアイクリニックにて取り扱っております。ご興味がある方は院長までご相談ください。

選定療養について

選定療養とは、治療に関わる追加費用を自己負担することで、保険診療対象外の治療を保険診療と併用して受けることができる国の制度です。本来、多焦点眼内レンズは保険診療の対象外のため、手術に関わる医療費(手術前後の検査・眼内レンズ・手術・処方薬の費用)が全額自己負担(自費)になりますが、厚生労働省の承認を受けている多焦点眼内レンズであれば、この選定療養を使用することができます。手術・検査・処方薬などの医療費は健康保険の自己負担分、眼内レンズ代は単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの差額分をお支払いいただくことになります。

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は、2020年4月から民間の医療保険の先進医療特約の適用外になり、選定療養の対象に変更になりました。

“多焦点”

“先進対象”

“先進非対称”